⑨宇宙望遠鏡

宇宙へのロマン⑨〜 ハッブル宇宙望遠鏡・ジェイムズ・ウエッブ宇宙望遠鏡・ユークリッド宇宙望遠鏡〜

 『宇宙に望遠鏡!?』ってビックリされるかと思いますが、地球の衛星軌道上などの宇宙空間に打ち上げられた天体望遠鏡のことを宇宙望遠鏡と呼びます。宇宙望遠鏡は地球の大気や天候による影響を受けないため高い精度で天体観測ができます。

また宇宙望遠鏡は地上の超大型望遠鏡とともに連携観測を行っています。ハッブル宇宙望遠鏡はクック天文台(ハワイ島、マウナケア山頂)と連携したり、ジェイムズ・ウエッブ宇宙望遠鏡、すばる望遠鏡(ハワイ島、マウナケア山頂)や巨大マゼラン望遠鏡(チリ共和国、ラス・カンパナス天文台、2029年観測開始予定)と連携したりします。

クック天文台
ハワイ島 マウナケア
クック天文台

 ハッブル宇宙望遠鏡(HST)

最も有名な宇宙望遠鏡です。1990年4月24日にアメリカ航空宇宙局(NASA)によるグレートオブザバトリー計画の一環として、スペースシャトル・ディスカバリー号にて打ち上げられ、すでに30年以上経過していますが今も現役、地上約600km上空の軌道上を時速2万8,000キロメートルで周回しています。

1日に地球を何周もしているってことになりますね。地球の周回軌道に乗せられた望遠鏡の中で最も成功した宇宙望遠鏡です。

名前の由来は“宇宙の膨張(後のビッグバン理論)”を発見したアメリカの天文学者エドウイン・ハッブル(1889年11月20日-1953年9月28日)の名に因んでいます。長さ13.1メートル、重さ11トンの筒型の反射望遠鏡で主鏡は直径2.4メートルあります。

開発費は15億ドル(日本円にして約1,650億円)です、しかし今までに何度も修理を繰り返していまして修理費の総額が100億ドル(日本円にして1兆1,000億円)を超えているとか!?

宇宙望遠鏡
宇宙望遠鏡のイメージ画
アンドロメガ銀河
アンドロメダ銀河

ハッブル宇宙望遠鏡は今までに数々の成果や観測を捉えています。代表的なものとして、

  • 多くの銀河の中心部にブラックホールがあるということを観測結果によって裏付け
  • 銀河系を取り巻く暗黒物質(ダークマター)の存在を明らかにした
  • 宇宙の膨張速度が加速しているということを観測結果により得られた
  • またアンドロメダ銀河(M31)や銀河団等のすばらしい画像が数多くあります。

コーヒーブレイク① コーヒーブレイク

ところで『ドレイクの方程式』って聞いたことありますでしょうか?実は世界で2番目に有名な式と言われています。1番有名な式はアインシュタインのE=MC²ですね。

1961年にアメリカの天文学者フランク・ドレイク(1930年5月28日-2022年9月2日)

が提示した『我々の天の川銀河に存在し、人類とコンタクトする可能性のある地球外文明の数はいくつあるか?』の方程式で7つのパラメーターの値を入れて計算した結果が“10”となりました。しかし注目すべきはこの方程式の解がN>1となってしまい矛盾が生じます。この矛盾のことを『フェルミのパラドックス』と呼ばれています。

銀河の数は先のブログでも書きましたが現時点で2兆個あると言われていますので、地球外生命体は普通に考えたら“無限にいる”と思われますが、私たちが生きているこの文明期間(約1万年と考えると)に存在しているかどうかは定かではないですし、存在したとしも、あまりに遠くに離れているので出会う確率は皆無に等しいということです。

天の川銀河の中でさえもあまりに遠いのです。みなさんはどう思われますか!?

地球外生命体
地球外生命体?!?!

ジェイムズ・ウエッブ宇宙望遠鏡(JWST)

続いてジェイムズ・ウエッブ宇宙望遠鏡について。
ハッブル宇宙望遠鏡の後継機でNASAが中心となって2021年12月25日に打ち上げられました。アポロ計画の基礎を築いたNASAの第2代長官ジェイムズ・E・ウエッブにちなんで命名されました。

NASA

ベリリウムを主体とした反射鏡主鏡の口径は6.5メートルでHSTの2.5倍、主鏡は一枚鏡ではなく18枚の六角形セグメントに分割されています。JWSTの重さは6.2トンでHSTの約半分に軽量化されました。形はHSTとは違い一見ヨットの形のような変わった構造をしています。開発費はなんと100億ドル(日本円にして1兆1,000億円)。またHSTのように地球の周回軌道を飛行するのではなく、太陽とは反対側約150万kmの位置の空間に漂って飛行しています。

主な任務は宇宙誕生初期のファーストスターを初観測することや、初期の銀河、そして生命の可能性を探ることです。2023年1月にはビッグバンから2億年後の約136億年前の銀河を発見した可能性があるとの発表もありました。

現在、NASAはJWSTの性能を超える次世代宇宙望遠鏡をすでに数台計画しています。2030年代半ばには最初の打ち上げを予定され、2040年代に正式運用を予定しています。

コーヒーブレイク② コーヒーブレイク

最近よく耳にする言葉で『アルテミス計画』ってご存じでしょうか?

NASAが主導する月面探査プログラムを称してそう呼ばれています。総額約13兆円規模です。昔のアポロ計画(有人月面着陸<1961年-1972年>)の再来で半世紀ぶりに有人月面着陸を目指しています。日本ではJAXAが主導しているようです。

2025年に月面に人類(初の女性宇宙飛行士を目指す)を送り込み、ゲートウェイ計画(月周回有人拠点)を通じて、月に物資を運び、月面に拠点を作ります。最終ゴールは人類を火星に送る(有人火星探査)としています。

2020年10月に、アメリカ・日本・カナダ・イタリア・ルクセンブルク・UAE(アラブ首長国連邦)・オーストラリアの8か国がすべての活動は平和目的のため行われることに合意(アルテミス合意)にサインをしました。他の国はどうなのでしょうか?

月の水
月の水、どんな味でしょうか?

現在、月には水資源があると言われおり、特に期待が持たれています。いつの日か地球で月の水(Moon Water)が売られる日も来るかもしれませんね。現時点では輸送費だけでも1リットル1億円するとかしないとか!?

ユークリッド宇宙望遠鏡

最近ニュースになりましたが、2023年7月1日に欧州宇宙機関(ESA)が中心となり米フロリダ州から打ち上げたのがユークリッド宇宙望遠鏡です。高さ4.7メートル、幅3.7メートル、重さ2トンほどのコンパクトな宇宙望遠鏡です。

目的は宇宙空間に存在する暗黒エネルギー(ダークエネルギー)や暗黒物質(ダークマター)の正体を少しでも突き止めることです。宇宙は約68%の暗黒エネルギーと約27%の暗黒物質で構成されていることがわかっています。

従って地球のような星や恒星、銀河等の“物質”は宇宙の約5%だけです。

ユークリッド宇宙望遠鏡は100億光年先まで広がる最大20億個の銀河の地図を作成したり、暗黒物質の分布を測定したり、こうしてできた宇宙構造の立体地図に対して暗黒エネルギーがどう関与したか等を調べることが期待されています。

次回はついに宇宙へのロマン最終回、『ウロボロスの蛇、地球、そして人類』についてです、お楽しみに。

子供の頃の夢は宇宙飛行士でした
〜宇宙の神秘に憧れて半世紀〜

アフラック募集代理店(有)ハピイ横山督 宇宙を語る

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人に話したくなる『教養としての“天体”』について、わかりやすくをモットーに紹介したいと思います。また、天体だけではなく、店舗の写真やミニイベント、ここ橋本(相模原市)のトピック(話題)等も交えて紹介できればと思います。

この記事を書いた人

prismgate

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