⑧国立天文台(NAOJ)の望遠鏡

宇宙へのロマン⑧ 〜すばる望遠鏡・アルマ望遠鏡・KAGRA重力波望遠鏡・TMT望遠鏡〜

 先日、国立天文台三鷹キャンパスへ見学に行ってきました。
国立天文台は世界最先端の観測施設を擁する日本の天文学のナショナルセンターです。

国立天文台 横山
国立天文台ガイド
見学

国立天文台とは

 とても歴史を感じる場所でもあり、いくつもの国登録有形文化財(施設)があります。代表的なものに太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)、20センチ屈折望遠鏡(第一赤道儀室)、65センチ屈折望遠鏡(天文台歴史館)等があります。

65センチ屈折望遠鏡は日本最大の口径を誇ります(1998年3月に現役引退)。

アインシュタイン塔
太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔
第一赤道儀室
三鷹キャンパス最古の観測用建物 (第一赤道儀室)

そしてなんと入場料が無料なんです。

場所は調布と三鷹のちょうど中間に位置し、私は調布から行きましたが、帰りは近くの神代植物公園まで歩いて行き、寄った後にはお蕎麦で有名な深大寺の蕎麦を食べてから調布までバスで帰ってきました。

おすすめのルートです。

深大寺のおそば

日本の天文学を担う研究機関

 国立天文台とは、国内外含めいくつかの観測所(野辺山宇宙電波観測所<長野県南佐久郡>、ハワイ観測所<すばる望遠鏡、マウナケア山頂、1999年1月観測開始>、チリ観測所<アルマ望遠鏡、アタカマ砂漠、2011年観測開始>)等々や、三鷹キャンパスなどで研究活動や各種プロジェクトがあり、その総称を国立天文台と呼んでいます。

45メートル電波望遠鏡

 標高1,350mの野辺山高原にある45m電波望遠鏡(1982年完成)は世界最大の口径です。

特に銀河の中心に巨大ブラックホールが存在することを初めて確認し世界を驚かせました。この45m電波望遠鏡は日本の電波天文学を牽引し、その技術はアルマ望遠鏡等にも活かされています。

45 m電波望遠鏡
長野県南佐久郡

すばる望遠鏡

  標高4,205mのハワイ島マウナケア山頂にあり、主鏡に口径8.2mの一枚鏡をもつ当時世界最大の一枚鏡をもつ光学赤外線望遠鏡です。

肉眼では6等星までしか見えませんが、その100万倍の27等星まで観測することができます。

2003年にはおよそ128億光年彼方の銀河の発見等、最遠方銀河の発見記録を次々と更新しました。また2019年には130億光年彼方の原始銀河団を発見しています。
2020年にはハッブル宇宙望遠鏡(次号で説明)が2016年に発見した134億光年先の最遠方銀河候補『GN-z11』を調べて、正確に距離を測定し最も遠い銀河であることを証明しました。

ハワイ島マウナケア

アルマ望遠鏡

  標高5,000mの南米チリ北部のアタカマ砂漠に建設された電波干渉計で、22の国と地域が協力して運用しています。

合計66台のパラボラアンテナを結合させて1つの大きな電波望遠鏡を作り出しています。66台のうち16台が日本製です。

2022年4月には135億光年彼方の最遠方銀河の候補を発見しています。今後この銀河はジェイムス・ウエッブ宇宙望遠鏡(次号で説明)にて詳細な観測が予定されています。

これまでの記録は2016年にハッブル宇宙望遠鏡が発見した134億光年彼方の銀河『GN-z11』です。

アタカマ砂漠
チリ共和国アタカマ砂漠

重力波望遠鏡

宇宙へのロマン⑦ブラックホール』にも出てきました“重力波”のプロジェクトとして、重力波望遠鏡の研究開発も行っています。三鷹キャンパスの構内地下にある実験的装置の重力波望遠鏡(TAMA300<基線長300m>、1999年7月から観測開始)の運用や岐阜飛騨市、神岡鉱山の地下にある重力波望遠鏡(KAGRA<基線長3km>、2020年2月25日から観測開始)の建設やプロジェクトを担っています。

また海外にも有名な重力波施設が2つあります。

LIGO(ライゴ)

  • 米国(ルイジアナ州リビングストン リビングストン観測所)&(ワシントン州リッチランド ハンフォード観測所)
  • 2002年から観測

Virgo(バーゴ)

  • 欧州イタリア(トスカーナ州)
  • イタリア&フランスが中心
  • 2007年から観測

KAGRA(かぐら)はこれら2つの重力波施設を含め、離れた地域での重力波望遠鏡を使っての三角測量の共同観測を行っています。これにより重力波がどの方角から来たのか特定ができます。現時点でKAGRAは、LIGOやVirgoの精度にはまだ劣るようで今は感度の向上を目指しています。

重力波の初検出は2015年9月14日に行われ、LIGOとVirgoの研究チームによって2016年2月11日に発表されました。

LIGOで検出された重力波の波形は連星ブラックホール(36太陽質量と29太陽質量)がお互いを周回しその後合体した様子を捉えたものでした。LIGOの長さ4キロメートルの腕は陽子の大きさの1/1000だけ伸縮しました。これは太陽に最も近い恒星(プロキシマ・ケンタウリ)までの距離(4.3光年)が、髪の毛1本分伸縮したことに相当します。

予言していたアインシュタインでさえも重力波の検出は不可能ではと思っていたことなどがその理由です。

アインシュタイン
理論物理学者 アインシュタイン

TMT(30メートル)望遠鏡

また国立天文台はTMT(30メートル)望遠鏡の建設プロジェクトも行っています。

ハワイ島マウナケア山頂(すばる望遠鏡の近く)に建設予定で次世代超大型光学赤外線望遠鏡になります。完成予想図を見る限り形は円形ドームでとても格好良いです。

その名の通り直径30mの主鏡は492枚の小さな六角形の鏡を組み合わせて作られる分割鏡になっています。その主鏡には日本のガラスメーカー、オハラ(神奈川県相模原市:弊社から徒歩圏内)が開発したゼロ膨張ガラスが採用されています。

日本、米国、カナダ、中国、インドの国際協力事業で建設を進めており、2021年末に完成予定でしたが地元のネイティブハワイアン(マウナケア山頂は聖地)の反対運動等もあり、現時点では2027年完成予定になっています。

このTMT望遠鏡が完成すれば、宇宙初期の銀河やファーストスター(初代星)が観測できることが期待されています。

・・・まさにロマンですね!

次回は宇宙にある望遠鏡についてです、お楽しみに。

TMTパンフレット

子供の頃の夢は宇宙飛行士でした
〜宇宙の神秘に憧れて半世紀〜

アフラック募集代理店(有)ハピイ横山督 宇宙を語る

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人に話したくなる『教養としての“天体”』について、わかりやすくをモットーに紹介したいと思います。また、天体だけではなく、店舗の写真やミニイベント、ここ橋本(相模原市)のトピック(話題)等も交えて紹介できればと思います。

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prismgate

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